やったこと
環境エネルギー事業協会のコラムは、Scope3の算定から削減アクションに踏み込んだ国内企業4社(京セラ・レオパレス21・ローソン・モスフードサービス)の取り組みを、各社のホットスポットカテゴリ特定→削減施策の流れで整理した。
具体的な手順・工夫
京セラ:カテゴリ1(購入した製品・サービス)を最重点に設定
- 算定結果でカテゴリ1の排出比率が最大と判明
- サプライヤーのGHG排出量算出と削減目標設定を推進
- 次いで排出量が多いカテゴリ11(製品使用段階)は製品省エネ化の強化で対応
- 廃棄物量削減・リサイクル率を毎年数値化し継続改善
レオパレス21:カテゴリ11(使用段階)が排出の大半
- 入居者の電気・ガス使用が主要Scope3排出源と算定で特定
- 現状対策:管理物件の照明器具をLEDに切り替え
- 今後の計画:ZEHアパートの開発・販売、管理物件への再エネ利用
- 入居率上昇に伴うScope3増加を見込み、製品設計段階からの排出削減が課題
ローソン:フランチャイズ店舗と製品サプライチェーンに分散
- フランチャイズ店でのエネルギー使用量と製品サプライチェーンに排出が集中
- 原材料調達→製造→物流→販売→廃棄・リサイクルの各段階で環境影響を把握
- 米飯類製造工場・配送センター等取引先を対象に毎年アンケートでCO2排出量を収集
- 経年変化と削減対策の効果を検証し、翌年の取り組み項目を絞り込む
モスフードサービス:プラスチックと店舗省エネを両軸に
- 2030年度までに顧客提供の使い捨て製品における環境配慮型製品比率を70%に設定
- 代替素材(認証紙・再生可能資源素材・バイオマスプラスチック)への転換が課題
- 非石油素材はプラスチックより高コストのため調達コスト増大が障壁
- 店舗での省エネ:グリーンカーテンコンテスト(省エネ+顧客体験の向上)
得られた結果
- 各社ともScope3の算定により「どのカテゴリが排出量の主要因か」を特定し、重点1〜2カテゴリへのリソース集中が実現
- フランチャイズ・不動産管理系企業はカテゴリ11(顧客の使用段階)が最大課題になるパターンが多い
- 製品設計変更(ZEH化・省エネ製品・バイオ素材)が最終的な削減の鍵
他社が参考にすべき点
Scope3算定を始める企業・製造業・小売業の脱炭素担当向け:
- まずScope3全15カテゴリを算定し、排出量上位3カテゴリに絞ってPDCAを回す——京セラのようにカテゴリ1が最大の企業と、レオパレスのようにカテゴリ11が最大の企業では取るべき施策が正反対。算定なしの推測で動かない。
- フランチャイズ・不動産系はカテゴリ11(使用段階)が最大排出源になりやすい——ローソン・モス・レオパレスに共通するパターン。サプライヤーエンゲージメントよりも製品省エネ化(ZEH・LED・再エネ)が最優先課題。
- 代替素材の調達コスト増は「顧客向け環境配慮型製品」のブランド価格に転嫁する設計が現実解——モスの事例のように「環境素材=コスト増」をそのまま受け入れるのではなく、環境価値で価格を正当化するブランド戦略と組み合わせる。